ダンデライオン~春、キミに恋をする~


「……なーにしてんの?そんなとこに突っ立って」

「……あ……」



大野健吾。

見上げると、階段から降りてきた大野健吾が、数段上であたしを見下ろしていた。

踊り場の窓から差し込む光を背後に従えて、逆光になった大野健吾。


顔がはっきり見えなくて、思わず目を細めた。


何も言えず黙っていると、トントンってゆっくり降りて来て、あたしに並んたところで立ち止まった。


「なんか探してる?」

「え?」


ハッと顔を上げると、力なく笑みを零した大野健吾と目が合う。

こんな顔見た事なくて、ビックリした。


「俺、その探しモンがどこにあるか知ってるかも」


えっ


「それ、どこ?」


思わずその腕を掴んで引っ張ると、まっすぐあたしを見下ろした大野健吾。


いつになく真剣なその眼差しに、掴んだ手をパッと放した。


な、なんか……調子狂うな……。

オロオロと俯いたあたしの目の前に、にゅっと腕が伸びて慌てて顔を上げる。



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