ダンデライオン~春、キミに恋をする~


ゆっくりとその公園に足を踏み入れた。

瑞々しい芝生が、あたしを優しく迎えてくれる。



ひらひら

 ふわふわ



まるで映画のワンシーンのようだ。


桜の花びらが降り注ぐ木陰
お日様の光のような黄色いたんぽぽの絨毯の上で

目を閉じている響。



本を読んでたのかな……

すぐそばに小さな本が転がっていた。






キレイ……

初めて会った時みたい。

あの時も響は、桜の木の下で寝てて、あたしが響に気付かないで尻もちついちゃったんだっけ……。


あの日の情景がまるで昨日の事のように、鮮明に蘇る。



その時、サアッと少し強い風が吹いて、桜の木を撫で、たんぽぽと響のキャラメル色の髪を揺らし、あたしを包み込んだ。

あの夢の記憶も連れて……。









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