ダンデライオン~春、キミに恋をする~
「んじゃ、帰ろっか」
「えっ」
よいしょと立ち上がった響をジッと見上げる。
か、か、帰るって……どこに?
さっきの響の言葉が残ってる。
しばらく耳から離れないよぉ……
体に付いた花びらたちを軽く払うと、響はいまだに座り込んだあたしに気付いて視線を落とした。
思いっきり真っ赤になってるあたしに、少しだけ目を細めた響。
それから、可笑しそうにS坂を指差した。
「……学校だよ。 行かないの?」
「えっ、がが、が、学校?い、行くよ?鞄忘れて来ちゃったし」
学校か~~!
や、やだぁ、あたしってば!
勝手に勘違いしてたのが恥ずかしくて、そそくさと立ち上がる。
スカートに付いた桜やたんぽぽの花をさっと払った。
慌てて響に駆け寄ると、目の前の彼をチラリと盗み見る。
心なしかその頬がちょっぴり赤いのは、あたしの願望だろうか。