ダンデライオン~春、キミに恋をする~
目の前に、影が落ちる。
見上げた先に面白そうに目を細める彼と視線が絡まる。
……ドキン
「これは、俺が片づけるよ」
「へ?」
手を出されたその先を追う。
成田君は、転がったジョウロを拾い上げると、それを少し持ち上げて見せた。
「掃除は、水やりと一緒に朝でいい?」
「あ、うん……」
……って、あ、朝?!
起きれるかな……。
今朝の事を思い出して、思わず身震いする。
「んじゃ、帰ろ」
「え?」
その声に顔を上げると、成田くんは校舎の入り口であたしを待っていた。
「帰んないの?」
「……か、帰る!」
わー!
一緒に帰ってもいいのかな?
あたしより頭ひとつぶんよりも高い、彼をこっそりと見上げる。
歩幅なんて全然違うのに、あたしに合わせてゆっくりと歩いてくれてる。
新学期早々、あたしってほんとについてるかも!