ダンデライオン~春、キミに恋をする~
あたしの視線に気付いた響にジトッと見つめられ、またまた落ち着かない。
「……な、なに?」
「……、やっぱり俺んち行く?」
「へっ!?」
「今すぐ欲しいかも。なんでだろ、春だからかな?」
ポケットに手を入れながら響は、そう言って首を傾げた。
ギョッとして固まってると、「っはは」って無邪気に笑ってゆっくりとS坂を進みだした。
「~~~」
か、からかわれたぁ!
よかったような、ちょっぴり残念なような複雑な気分。
もう、イジワル……。
――『俺は優しくなんなかないよ』
ずっと前に、響が言った言葉を思い出す。
……きっとあたし。
こからも響に翻弄されっぱなしなんだろうなぁ……。
彼に近づくたび、知らない響が顔を出す。
もっと、もっと知りたいって欲張りになる自分が、ちょっぴり怖いな。
「……。待って、響!」
あたしはのんびり歩く響の背中を追って、
学校へと続く坂道を駆け出した。