ダンデライオン~春、キミに恋をする~
その時、たんぽぽのわたげがかすめた。
ふわり
ふわり
春風に乗って、それは頭上に広がる青い空へと吸い込まれていく。
あの綿毛みたいに、あたしの想いがあなたに届くように。
伝えきれてない、たくさんの想いが、届くように。
……そう思う。
まずは、ここから。
素直に伝えることから始めなくちゃ
だってあたしたち、はじまったばかりなんだもん。
学校まで続く桜は、
春を待ちわびて、もうピンク色に染まってる。
この坂道いっぱいに薄紅色の花が咲き誇るのは、もう目の前。
繋いでいる手に、キュッと力を込める。
当たり前みたいに返ってくるそのぬくもりに、涙が溢れそうになる。
「……響、あのね?」
響はあたしの顔を覗き込むように見ると。
小首を傾げて、「ん?」って笑った。
あたしの、大好きな、大好きなあの笑顔で。
fin.