ダンデライオン~春、キミに恋をする~

今日、遅刻してよかったよ~。
遅刻した罰の水やりも、成田くんと一緒なら、楽しそう!



廊下を歩きながら、学校の説明をする。
あたしの指差す先を、目で追っている彼。


その間、目が合えば笑顔も見せてくれてて、なんだか照れくさくて。



玄関で靴を履き替えて、外へ出る。
穏やかな風が、あたし達を包み、桜坂から飛んできたピンクの花が頬をかすめた。





「ここから南校舎に行くんだよ。南校舎は1年生のクラスと、一部の2年のクラスもこっちにあるの。 それからー、あとは……ほら、あそこが音楽室」




新しい音楽室は、南校舎の1番下の階にあって。
ちょうど、ここからも良く見える。




……あれ?


音楽室の中に人影が。



あ、そっか。

一瞬誰だかわかんなかった。



「あそこにいるのが、音楽担当の森嶋泉センセ。 今年からこの学校に来たんだよ? さっき会ったけど、すっごく綺麗な先生だった」



「見える?」と、成田くんを見上げると、その穏やかな顔から笑顔が一瞬固まったみたいに見えた。





「どうしたの?」と声をかけようとしたその時、成田くんがあたしより先に口を開いた。





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