ダンデライオン~春、キミに恋をする~
「間宮さんを待ってたんじゃなかったんだ」
「え?……う、うん」
成田くんが不思議そうに首を傾げた。
それもそのはず。
ヤマトが待ってるからって沙耶はさっさと行っちゃうし。
のんちゃんと、ゆっこもこれからふたりで用があるなんて慌てて消えちゃうし。
まるで嵐が去ってしまったかのように、校庭には静けさが戻った。
「間宮さん、先に帰っててくれる?」
「え?」
見上げると、成田くんはなんだかぼんやりしてて。
長いまつ毛の奥の瞳が、遠くを見つめて揺れてるようにも見える。
「ちょっと用事思い出して。ごめん、俺から誘ったのに」
「え? や、そんな……」
ハッとして、大袈裟なくらい両手を振ってみせた。
そんなあたしを見て、成田くんは、ふっと目を細めた。