ダンデライオン~春、キミに恋をする~
「キスも、その先もしない。 約束する」
「え? あ……あの……」
なにそれ。
なにそれ!?
あたしの眉間には一層シワが。
健全な男女が付き合うと言ったら。
A→手をつなぐ
B→キス
C→イチャイチャ
D→……は、ちょっとわかんないけど……。
意味が、わかんないんですけどぉ!
「え、と、あ、あたし……」
「ダメ?」
「や、ダメって言うか……」
ダメなわけない。
で、でも!でもでも!こんなんでいいの?
付き合うって、こんな感じなの!?
妄想してたのとのギャップに、戸惑う。
茶色の前髪の隙間から、切れ長の綺麗な瞳が真っ直ぐにあたしを捕らえてる。
頭の中、ぐちゃぐちゃ。
「もしかして、好きなやつ、いるの?」
「……」
成田くんは、何食わぬ顔でそんな残酷な事をいう。
いるよ……。
目の前に。
でも、それを素直に伝えるのは、今じゃない気がした。
あたしは、ふるふると首を横に振っていた。
そんな質問、ずるい……。