ダンデライオン~春、キミに恋をする~


「キスも、その先もしない。 約束する」


「え? あ……あの……」



なにそれ。
なにそれ!?


あたしの眉間には一層シワが。

健全な男女が付き合うと言ったら。


A→手をつなぐ
B→キス
C→イチャイチャ
D→……は、ちょっとわかんないけど……。


意味が、わかんないんですけどぉ!





「え、と、あ、あたし……」

「ダメ?」

「や、ダメって言うか……」



ダメなわけない。
で、でも!でもでも!こんなんでいいの?
付き合うって、こんな感じなの!?

妄想してたのとのギャップに、戸惑う。


茶色の前髪の隙間から、切れ長の綺麗な瞳が真っ直ぐにあたしを捕らえてる。


頭の中、ぐちゃぐちゃ。




「もしかして、好きなやつ、いるの?」

「……」




成田くんは、何食わぬ顔でそんな残酷な事をいう。



いるよ……。
目の前に。

でも、それを素直に伝えるのは、今じゃない気がした。



あたしは、ふるふると首を横に振っていた。

そんな質問、ずるい……。



< 48 / 364 >

この作品をシェア

pagetop