ダンデライオン~春、キミに恋をする~
慌てて下敷きになってた彼の上から身を引く。
どど、どうしよう!!
「あ、あの……ごっ、ごめんなさいっ。 その、こんなとこにまさか、人が寝てるなんて……じゃなくて……と、とにかくごめんなさいっ!」
もう平謝りしかない。
あたしは深々と頭を下げる。
ガバッと、ハハーって感じで。
彼は、そんなあたしに見向きもしないで、すっくと立ち上がると体に付いたタンポポを手で払った。
「いいよ。そんな謝らなくても」
「……でも」
見上げた彼の髪が、風に乗ってふわりと揺れた。
わ……
綺麗なヒトだな……。
桜の木々の間から光が差して
色素の薄い茶色の髪が持ち上がる。
それが、桜の花びらとタンポポの花びらと重なって見えた。
「……」
思わずゴクリと生唾を呑んだ。