ダンデライオン~春、キミに恋をする~
誰もいない、そして使われなくなった校舎。
明日、沙耶達に自慢しちゃおう。
初めて入る校舎は、思ったよりも空気が新しい。
締め切っていたとは思えない。
先生達が、きっと窓を開けたりして空気の入れ替えをしてるんだ。
古くなったとはいえ、この学校の校舎だもんね。
真っ直ぐに伸びる廊下。
中庭とは、平行にこの校舎が建っている。
突き当りに「音楽室」と書かれた教室がある。
その廊下の右側は、「図書室」と書かれていた。
なんだ、この校舎には音楽室と図書室しかないんだ。
あとは空き教室がひとつ。
その教室の反対側。
つまり廊下の左側はもう窓になってる。
「あれ?」
見覚えのある景色に首を傾げた。
そこから外を見ると、木々の間から中庭が見えたんだ。
全然気づかなかった……。
謎だった旧校舎の内側って、中庭から簡単に見ることが出来たなんて。