ダンデライオン~春、キミに恋をする~
ーーでも。
よく……わかんないんだよね。
隣で気持ち良さそうに目を閉じている響に視線を落とす。
柔らかな茶色の髪が、風に揺れてる。
少し長い前髪が、響のまつ毛にかかりそのまわりを、まるでダンスするみたいに光の群れが踊っていた。
なんて綺麗なんだろ、この人は。
「……」
響と付き合って、1ヵ月。
あたしは悩んでた。
響は健全な男の子のはず。
いくら、付き合う条件としてだされたのが
『手を出さない』って事でも……。
ちょっとくらい、あると思ってたの。
付き合ってるっぽい事。
ほら、手、繋いだりとか。
ほ、ほら! キス、しちゃったりとか?
でも、そんな気配ちっともなくて。
こうしてお弁当を一緒に食べてるのだって……。
あたしが響を誘ったからなんだもん。
ジーッと響を見つめていたら、その視線に気づいたのか響が顔を上げた。
「……なに?」
不思議そうに、そして顔にかかる木漏れ日が眩しそうに目を細めて、響はあたしを見上げた。
「え? あ……べ、別になにも……ほら、響の髪って……その、や、やわらかそうだなって」
視線を泳がすあたしは、あからさまに動揺してる。
うう……。
言えないよ……。
下心満載なんだもん、今のあたし。