ダンデライオン~春、キミに恋をする~
加速していく恋心に、最近あたし自身がついていけてない気がする。
「好き」がひとり歩き。
そんな感じ。
「……」
響は、本当はどう思ってるのかな?
『好き』って言葉……聞いたことない。
ちらりと、響を盗み見る。
――トクン
小さく小さく心が反応する。
響がここにいるだけで。
響を見るだけで。
あたしの五感が敏感に反応するんだ。
ドキン
ドキン
はあ……ダメだ。
ひとりで真っ赤になっていると、響はベンチの背もたれに頭をもたげて空を見上げた。
木漏れ日の下で、サワサワと風に髪を遊ばせて。
響の鼻歌が聞こえる。
~♪~♪~♪~
最近気がついた。
こうして、一緒にいると時々響は歌を口ずさむ。
低くて、ちょっぴりハスキーな声。
心地よくて、あたしも響の見てる空を見上げた。
この箱庭から見える景色は、まるで写真を切り取ったみたいに四角くて。
真っ白な綿菓子雲がのんびりと泳ぐ。
まるで、響の歌声に合わせているかのように。
それは穏やかに、優しく流れていた。