ダンデライオン~春、キミに恋をする~
そうだよね、だって……。
あたしなんかと付き合うよりも、響だって絶対かわいい子の方がいいに決まってる。
『……』
あたしを見下ろしたまま、何も言わない響から視線を落とした。
恥ずかしい……。
助けに来てくれて嬉しかった。
だけど、今……すっごく恥ずかしいよ。
だって、こんなの……。
耐えられなくてキュッと目を閉じたあたしを、甘い香りがふわりと包む。
ハッとして閉じた瞳を開けると、視界を埋め尽くす光景に一瞬何が起きたのかわからなかった。
『……』
響の手があたしの顔の横に伸びてる。
え?
見上げると、その先は横顔で。
エリカに視線を送りながらちょっとだけ面倒くさそうに響は言った。
『本当だよ』
『……』
そしてそっとあたしの耳元に唇を寄せた。
首筋に、響の吐息がかかる。
な、なな、なにコレっ!
初めて知る感覚に、クラクラ目眩がする。
『――椎菜は、俺の。だよ』
『……ッ……』
もうダメだ……。
甘い香りと、熱い吐息に今にも力が抜けそうになってようやく瞑っていた視界が明るくなった。
『大丈夫?』
『へッ!?』