ダンデライオン~春、キミに恋をする~
響は他の男子と違った。
泉先生を見ることもなく。
授業を聞いてるわけでもなく。
ただ、そこにいた。
机に座って、イスに身を投げ出して。
いつも窓の外を眺めていたんだ。
窓から入る陽射が、響の茶色の髪を明るく照らす。
スッと通った鼻筋。
綺麗な唇、尖った顎。
長いまつ毛。
そのまつ毛にかかる、柔らかな前髪。
横顔……いいなー……。
アツーイ視線を送ってみるけど、一向にあたしに気づく気配がない。
ずっと外を眺めていた響の視線が、揺れる。
……?
……あれ?
響のその視線の先にいるのは、泉先生。
「…………」
泉……センセ?
せ、先生を見てるなんて当たり前だよ。
他の男子も見てる。
響だって、先生くらい見るよ。
――ドクン
急に心臓が、鈍く鼓動を打った。
響――……泉先生……。
そうだ。
思い出した。