ダンデライオン~春、キミに恋をする~

なんとなく声のした方へ視線を送る。
その先に、渡り廊下のところで水浸しになってる男の子が目に入った。


「……」



ん?なんでそんなに濡れて……。



「きゃあああああ!」



濡れてるのは、あたしのせいじゃん!!

我に返ると、あたしの持ってるホースの水はあろうことか渡り廊下と男子生徒を水浸しにしていた。

慌ててホースを放り出して、彼の元へ駆け寄る。


「ごご、ごめんなさいっ! ボーっとしてて。 冷たいですよねッ!ど、どうしようっ」


うわーん。
最悪ー! 泉センセの事考えてたら手に力入っちゃってたよぉ。

泣きたい~。



「ほんと、すみませんっ」


しどろもどろになりながらポケットからハンカチを出して彼の腕を取った。

涙目になりながら、もう平謝りするしかないあたし。



怒られるー!




「……ぶはッ」



だけど、そんなあたしの慌てぶりとは裏腹にずぶ濡れの彼はなぜか吹き出した。





「……へ?」


 
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