ダンデライオン~春、キミに恋をする~
「名前、なんつーの?」
「え?」
「あと、クラス」
なんで?
って首を傾げたあたしなんか関係ないって感じで、彼は真っ直ぐにあたしを見据えた。
「……間宮、椎菜。 2年F組、ですけど……」
「俺、大野健吾。 1年A組」
オオノ ケンゴ?
名前なんて、別にいいのに。
と、言うかもうあんまり関わりたくないよー。
廊下の入り口で立ち止まったままのあたし。
ケンゴはなんとも怪しい笑みを零しながらこっちにやって来る。
あたしは意味もなく手にしていた鞄を両手で抱えた。
「なんだ、先輩なんじゃん。 そんじゃ、このカイロはもらってくけど。 風邪引いたら責任とってよね、センパイ?」
そう言って、にやり。
「……お、お気をつけて」
そう言って警戒心丸出しで口をつぐんだあたしの反応を見て、満足気に口角をキュッと持ち上げたケンゴは「そんじゃ」ってさっさと行ってしまった。
ひとり箱庭に取り残されたあたしは、ただ呆気に取られてて。
……なんなの? アイツ……。