ダンデライオン~春、キミに恋をする~
……はあ。
なんだか無性に疲れたってゆうか。
あたしは大きな溜息をつくと、ハッとして顔を上げた。
てゆか、響!
変な後輩の登場で、すっかり忘れてたんですけど。
まだ響が学校に残ってる気がして、あたしはとりあえず教室にもどった。
教室のドアを開けて中を覗くと、そこはすでにからっぽだった。
それでも構わずに自分の席に向かう。
ひょいっと顔を覗き込むと。
「やっぱり」
響の机にはまだ鞄がかかってた。
まだ、いるんだ。
……一緒に帰れるかな。
さっきの話、聞いてほしいかも。
響はいつも、あたしの話を黙って聞いてくれてる。
別にだからて何かを言ってくれるわけじゃないんだけど。
その響の『うん』がすっごく落ち着いて。
あたしは大好きだったりする。
どこ行ったんだろ。
あたしは教室を出ると、ケータイを取り出した。
響のアドレスを出すと通話ボタンを押す。
『―――……プルル』
受話器越しに響のケータイが鳴る。
――ドキン
わわ。
ちゃんとかかったし。
じ、実はコレが、初電話だったりして。
ドキドキする心臓を抑えながらあたしは廊下を進んだ。
その足は自然と玄関に向かう。
玄関に行くためにはあの教室を通るのに。
受話器の向こうでは、ずっとコール音が鳴り響く。
それでもあたしはかけ続けた。
廊下を歩きながらキョロキョロと響を探す。
響ー?どこだよぉ……。
――……♪♪♪
「あ」
どこからか聞こえる着信音。
あたしは吸い寄せられるように、そこへ向かった。