ダンデライオン~春、キミに恋をする~
「ふーん。なら、同じクラスになれるかもね」
そう言って、彼はふっと笑った。
「だ、だね!」
そうなったら嬉しいな……。
やっとたどりついた校門をくぐったところで、彼が視線だけをこちらに向けた。
「結局、始業式間に合わなかったね。 大丈夫なの?」
「あはは。 ……たぶん」
遅れたことないけど、沙耶がなんとかしてくれてるはず。
親友が怒ってる顔が目に浮かぶ。
後からお説教受けるんだろうな……。
「じゃ、またね」
彼は小首を少しだけ傾けると、ふわりと微笑んだ。
その動きに合わせて、柔らかな髪も一緒に動く。
そしてそのまま、あたしに背を向けて歩き出した。
あ、行っちゃう……。
なんだか、胸の辺りがソワソワする。
ど、どうしよう……。
このままじゃ……。
「……あ、あの!」
気がついたら、彼の背中に向かって、思い切り声をかけていた。