ダンデライオン~春、キミに恋をする~

『心配する』

なんて、卑怯だよ……そんなの。

あたし、どうしたらいいかわかんなくなるじゃん。




「……響……」




ポツリと零れた言葉も震えていて。
もう、ダメだよ……。



「い、み……意味わかんない」

「え?」



響は、切れ長の瞳をさらに見開いた。



「なによ……なによお」



グーパンチを作って、響の胸を押しやる。
服の上からでもわかる。
適度に鍛えられた、無駄な贅肉なんてない体。

あたしの軟弱パンチを受けて、響の体がほんの少しでけバランス崩す。



「し……いな?」



一度堰を切って溢れ出したあたしの『想い』はもうとめられない。

でも、そんなこと今のあたしには関係なくて。
ただ、勝手に溢れてきちゃった涙をとめることが出来ずにいた。




「なんでっ。なんで追っかけてきたりするの?
ど、どうせ、あたしのことなんて好きでもなんでもないくせにっ……。
なのになんで? 優しくすんな!
……っ……い、イズミせんせーのトコ行けばいいじゃん!
そんな訳わかんない事する響なんか、イズミ先生のとこ行っちゃえばいいよっ」

「…………」



子供って、笑ってもいい。
こんなこと言ったって、響の心がココにないことくらいわかってる。



―――だけど。
涙は止まらなくて。

あたしはまるで、欲しいオモチャが手に入らないで泣き喚く子供みたいだ。


< 83 / 364 >

この作品をシェア

pagetop