ダンデライオン~春、キミに恋をする~
『心配する』
なんて、卑怯だよ……そんなの。
あたし、どうしたらいいかわかんなくなるじゃん。
「……響……」
ポツリと零れた言葉も震えていて。
もう、ダメだよ……。
「い、み……意味わかんない」
「え?」
響は、切れ長の瞳をさらに見開いた。
「なによ……なによお」
グーパンチを作って、響の胸を押しやる。
服の上からでもわかる。
適度に鍛えられた、無駄な贅肉なんてない体。
あたしの軟弱パンチを受けて、響の体がほんの少しでけバランス崩す。
「し……いな?」
一度堰を切って溢れ出したあたしの『想い』はもうとめられない。
でも、そんなこと今のあたしには関係なくて。
ただ、勝手に溢れてきちゃった涙をとめることが出来ずにいた。
「なんでっ。なんで追っかけてきたりするの?
ど、どうせ、あたしのことなんて好きでもなんでもないくせにっ……。
なのになんで? 優しくすんな!
……っ……い、イズミせんせーのトコ行けばいいじゃん!
そんな訳わかんない事する響なんか、イズミ先生のとこ行っちゃえばいいよっ」
「…………」
子供って、笑ってもいい。
こんなこと言ったって、響の心がココにないことくらいわかってる。
―――だけど。
涙は止まらなくて。
あたしはまるで、欲しいオモチャが手に入らないで泣き喚く子供みたいだ。