ダンデライオン~春、キミに恋をする~
一瞬、あたしが何を言ったのかわからない、と言うようにその瞳を見開いた響。
その顔から、笑顔は消えていた。
「それでも構わない」
「……」
両手で、苺ミルクをキュッと握りしめる。
響の笑顔みたく、甘ったるいそのジュース。
だけど、甘いだけじゃない。
苺特有の、酸味の危ういその味が
響の心みたいだ。
「俺は。 椎菜を利用したんだ。自分のために、椎菜を傷つけた……」
「それでもいいっ!」
あたしの言葉を待つ響の表情は、どうしよもないくらい
あたしの心を締め付ける。
その心の奥に、なにがあるのか知りたい。
だから……。
「……あたし……響といたいよ」
お願い……。
この選択が、間違ってるのかもしれない。
……。
目の前が滲む。
響は、ただあたしの顔をじっと見つめてる。
不思議なものでも見るみたいに。
その瞳をさらに見開いて。
ただ、言葉を失ってる。
笑ってもいいよ?
呆れてもいいから――…。
でも、神様。
あたしに……響の隣りにいれる権利をください。