ダンデライオン~春、キミに恋をする~
「? なに?」
振り返った彼は、不思議そうにあたしの言葉を待ってる。
ど、どうすんの、あたし!?
「……あの、あ、あたし! 間宮……間宮椎菜って言います! 名前……なんて言うんですか?」
「……」
キョトンとして、目をパチクリさせてる彼を見て、あたしの頬は音を立てて赤くなる。
うわ~んっ!
なんかよくわかんないけど、無性に恥ずかしいよぉ。
そんなあたしを眺めた彼は、おかしそうに目を細めた。
「……成田 響」
愛想の良い笑顔を浮かべる成田響くん。
ふたりの間を、穏やかな風が吹き抜ける。
優しい風は、悪戯にふわりと彼の髪を揺らす。
優しい笑みを零す、春のような成田くん。
――……トクン
あぁ、あたし……。