ダンデライオン~春、キミに恋をする~
『俺……また椎菜を傷つけるかもしれない……』
『……響』
優しいオレンジの淡い街灯の明かりの中。
響の髪もオレンジ色にキラキラして見える。
苦しそうに言った響は、片手で顔を覆った。
そして、絞りだすみたいなかすれた声。
『泣かれるの……しんどい』
『……』
前髪をクシャリとすいて、あたしから顔を背けてしまった響。
思わず抱きしめたくなる衝動を抑えながら、あたしはギュッとスカートを握りしめた。
泉先生との関係がバレちゃったから?
だからあたしとはいられない?
だけど……。
もう進んじゃってる。
後戻り……出来ないよ。
響があたしのこと好きじゃなかったとしても。
見かけだけの『特別』だったとしても。
……それでも
『利用してもいいよ』
『もう無理だって』
あたしを見ない響。
なによ……
こっち見てよ……
響、お願い……!