1month honey

停車し運転席の男がエンジンを止めた。

そのとき私は
ふと我に返った。

金髪男の後頭部から
窓の外へと視線を移すと
古びた営業中のネオンを掲げた
カラオケ店だった。

「またここか…」

心の中でそっと呟く。

このカラオケ店は
何度か別の人たちと来たことがあった。
あまり良い思い出はない…


中に入ると
小さなカウンターに
受け付けのおばさんがいた。

おばさんは笑顔で私たちを出迎えた。

「またあんたたちかい。
 あんまり部屋汚さないでよ。」

おばさんがそう言うと
運転席の男と金髪男は
ヘラヘラと笑って頷いた。

< 18 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop