1month honey
やっとの思いで浜に辿り着くと
さっきよりは歩きやすかった。
立ち止まり
両手を大きく広げ
深呼吸をした。
潮の香りを含んだ冷たい空気が
肺いっぱいに広がって
血液に乗って身体中に行き渡る。
閉じていた目を開くと
目の前に
満点の星空が広がった。
街頭もない
月明かりに照らされて
キラキラと光る水面と
空いっぱいに瞬く
星の明かりだけが
私たちを包んだ。
私よりもすこし前に
リュウジの背中が見えた。
それを追いかけるように
私はゆっくりと歩く。
大きくなっていく波の音が
私の鼓動を高鳴らせる。