空中少年(Gnawing at this heart)
えー、と不満げな声を漏らしながら、小坂はくすくす笑って目を閉じた。
「優等生面すんなって」
「優等生だもん」
「優等生は屋上の鍵パクったりしませんー」
私はポケットを漁って、ちゃらりと手に触れたものを、海の真ん中に向かって投げる。
鍵は見事、小坂の腹の上に着地した。
「バイバイ、小坂」
小さな子供にするように手を振ってみせると、小坂は片目を開け、むくりと起き上がった。
腹の上の鍵を指先にひっかけて眺めると、つまらなそうな顔をしながらもゆっくり立ち上がる。
寝転がって汚れただろう、背中やお尻を払うこともせずに、小坂はこっちを向いて跳んだ。
幅1メートルくらいはあるだろうか。
小坂と私の間に流れる、オレンジジュースの海を飛び越える。
深くて濃くて高い青空、いやに映えるシャツの白さ。
不覚にも、見惚れた。
「優等生面すんなって」
「優等生だもん」
「優等生は屋上の鍵パクったりしませんー」
私はポケットを漁って、ちゃらりと手に触れたものを、海の真ん中に向かって投げる。
鍵は見事、小坂の腹の上に着地した。
「バイバイ、小坂」
小さな子供にするように手を振ってみせると、小坂は片目を開け、むくりと起き上がった。
腹の上の鍵を指先にひっかけて眺めると、つまらなそうな顔をしながらもゆっくり立ち上がる。
寝転がって汚れただろう、背中やお尻を払うこともせずに、小坂はこっちを向いて跳んだ。
幅1メートルくらいはあるだろうか。
小坂と私の間に流れる、オレンジジュースの海を飛び越える。
深くて濃くて高い青空、いやに映えるシャツの白さ。
不覚にも、見惚れた。