空中少年(Gnawing at this heart)
「俺、チーズバーガーとナゲットと、オレンジジュース」
耳に馴染んだ、というほどたくさん聞いてはいない、でもどこか親しみのある小坂の声が聞こえる。
他の奴は、ああだこうだ言いながら一向に注文が決まらないらしい。
そのメンバーの中では、小坂はさほどうるさくない部類に入るようだった。
「あの村上って奴、他校の生徒カツアゲしてたって聞いたけど、本当かなあ」
中里のひそめた声は、左耳から入って右耳へと抜けていった。
全員が注文を決めるより早く、小坂の頼んだものが出来上がったらしい。
トレイを受け取り、席取っとくぜと仲間に告げて、小坂は体の向きを変えた。
迷わず喫煙席へと向かう途中で、ちらりとこっちを見た小坂と目が合う。
私に気づくと同時に、同じテーブルの中里を確認し、またすぐに私へと視線を戻した。
ニヤッと笑ってみせた小坂に、私は浅く頷くような曖昧な動作を返したけれど、小坂がそれに気づいたかはわからない。
ガラス張りの喫煙席へと小坂が消えると、中里が尋ねてきた。
「知り合い?」
私は何でもない顔でポテトを口に運ぶ。
「少し喋ったことあるだけ」
耳に馴染んだ、というほどたくさん聞いてはいない、でもどこか親しみのある小坂の声が聞こえる。
他の奴は、ああだこうだ言いながら一向に注文が決まらないらしい。
そのメンバーの中では、小坂はさほどうるさくない部類に入るようだった。
「あの村上って奴、他校の生徒カツアゲしてたって聞いたけど、本当かなあ」
中里のひそめた声は、左耳から入って右耳へと抜けていった。
全員が注文を決めるより早く、小坂の頼んだものが出来上がったらしい。
トレイを受け取り、席取っとくぜと仲間に告げて、小坂は体の向きを変えた。
迷わず喫煙席へと向かう途中で、ちらりとこっちを見た小坂と目が合う。
私に気づくと同時に、同じテーブルの中里を確認し、またすぐに私へと視線を戻した。
ニヤッと笑ってみせた小坂に、私は浅く頷くような曖昧な動作を返したけれど、小坂がそれに気づいたかはわからない。
ガラス張りの喫煙席へと小坂が消えると、中里が尋ねてきた。
「知り合い?」
私は何でもない顔でポテトを口に運ぶ。
「少し喋ったことあるだけ」