[短編]アスタラビスタ
――映画館を出た後も余韻は残った。
「ハル?大丈夫?」
「あぁ、ごめん。すごく感動しちゃって」
「うん、よかったよね。でも切なかったな」
「うん、すごく切なかった」
帰り道、いつもより会話が少ない。
これが最後のデートだと、お互いよくわかってる。
たくさん喋りたいのに切ない気持ちが大きすぎて、
うまく言葉にできない。
涼はいつものように家の前まで送ってくれる。
自転車を押して、いつもよりもゆっくりと…