[短編]アスタラビスタ
来週、私は東京へ行く。
生まれ育った海沿いの小さな町を出て。
高校一年の頃から付き合ってる彼氏、森内 涼とは引っ越しと同時に別れることになっている。
私がそうしたいとお願いしたから。
「ハル、明日デートしよう」
“七瀬ハルへ”と書かれたクラスメートからの色紙を眺めながら、涼が言った。
「明日?」
「荷造り、忙しい?」
「ううん、大丈夫だよ明日なら」
「じゃあ10時に駅で待ち合わせ」
「うん、わかった」
私達はまた、手を繋ぎ直した。
私の制服姿は今日で終わり。
明日からは高校最後の夏休みだ。