[短編]アスタラビスタ
本当は涼ともクラスのみんなとも、一緒に卒業したかった。


こうして涼と寄り道する浜辺にも、もう来れなくなるなんて。


少し前には考えもしなかったこと。



私は父子家庭で育った。
小さい頃から母親と言う存在はなかった。


お父さんが一人で、私と三つ下の弟を育ててくれた。


そんなお父さんの転勤が三週間前に急に決まった。


「ハルはどうしたい?」と聞かれた。


みんなで東京に行くのか、私だけ残るのか、「自分で決めていい」と言われた。

< 4 / 33 >

この作品をシェア

pagetop