茅〜最期の10ヶ月





304号室

「泰樹!」


「茅?まだ車椅子乗ってんの?大丈夫かよ!」

「ん?大丈夫!もうほぼ歩けるんだから♪泰樹よりもずっと丈夫!」


「あっそ!せっかく気にしてやったのに可愛くねぇ‥。」

「可愛くないからいいもーん♪」


「バーカ!!俺からしたらお前は可愛いっつーの(笑)!」
泰樹はこうやって
昔から恥ずかしい事も
平気で言っちゃう、
そういう所が
大好きな理由


「‥(笑)ありがと♪」


「お前‥さぁ、あとどの位で退院出来んの?」

いきなりだったから
ちょっと戸惑って
「えっ‥と、まだかな‥。」


「俺さぁ、あと一週間と少しで退院出来るんだわ!お前さぁ、外出出来る?」

「退院?良かったじゃん!外出は‥わかんない」

「そっか‥。」

悲しそうな泰樹を
見てあたしは、
「聞いてみるね♪あたしも外出したいし頼んでみるよ!」


「おぅ!」

「あたし帰るね!今日ね久々に親くるから♪」


「良かったな!それじゃあな!」

「また明日ね♪」

「茅!外出決まったらさぁ、デートしような♪俺、退院したら車椅子だから並んで歩くのは無理かもしれねぇけど、記念日は2人で過ごしてぇし!」

「‥‥うん(泣)」
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