マビキ
男は20歳くらいで、金髪だった。
話し方から柄の悪いやつだ。

「お前逃げようとして捕まったんだろ、阿呆だな」。

かちんときた。
こんな奴と同類なのか、そして一緒に殺されるのか。

「あんたは黙って殺される気なんですか?」。

攻撃的に返した。

「むかつくけどな、逃げるなんて無理なんだよ、俺達は落ちこぼれだ、エリートにはかなわねえ」。

俺は溜め息をついてその場に座り込んだ。

ただ黙って死を待つなんて嫌だ。
しかし、そこの不良が言ってる事ももっともだ。

何かないか?
映画のような劇的な脱出方法は。


目を閉じて考えるが、何も浮かばない。
当たり前だ、俺は劣等組なんだ。

周りの連中もそうだ。

見渡してみると、年寄りがちらほら見受けられる。

年寄りに対してもルールが適応されるなんて、むちゃくちゃだ。
この計画を実行した奴らも歳は取るだろうに。
しかし、年寄りの人口の多さが問題だという話もニュースでやっていた。

人口が減り、優秀な人間が残る。
国にとって良い事なのかも知れない。
優秀な人間達はずっと前からやりたかった事なのかも知れない。

しかし、やはり殺される側にしてみればたまらない。

そうだ。

殺されてたまるか、何としても逃げきってやる。

が、やはり逃げる手段が見つからない。

どうする?

時間は過ぎて行く。








案の定何も思い浮かばず、3時間は経っただろうか、長い時間が過ぎた。
看守が来た。(看守と言っていいのだろうか、まあとりあえずそう呼んでおこう。)
看守の手にはライフルが握られていた。
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