キミと太陽と飛行機雲
その声で私の名前が呼ばれたらいいのに、なんて思い始めたのはいつからだったろう。

「…ねぇ」
「ん?」

空から単語帳に目を落とし、閉じた。
今日は何ひとつ頭に入らない。やるだけ無駄だ。多分さっきの『カチン』を引きずっているのだろう。
…らしくない。
こんな乙女な自分なんて鼻で笑ってしまう。
内心で失笑しながら、それでもこの空気に流されて呟いてしまう声を止められなかった。

「飛行機雲と私、どっちが好ましい?」
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