キミと太陽と飛行機雲
数日ぶりのキミは変わらない。
まとっている空気とか、歩き方とか。何も。

「ね、屋上行こう?」

だから私が変わってみせた。
私達の間で初めて、行く先を示してみせる。
そのことに、さすがにキミは驚いた顔で。けれど小さく頷き、私についてくる。

「天気いいねぇ」

背中に彼の存在を感じながら廊下を歩くのも初めてだ。こんな風に、他愛もなく呟くことも。
私達はいつも、並んで歩いていた。そこに言葉のコミュニケーションは必要なく、それが普通で苦痛もなかった。
今、そうできなくなってしまったのは全て私の変化のせいだ。
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