華〜生きる道〜
そんな会話を離れた所でこっそり聞いている、少女がいた。
名は、セルリア・オルフェリア・レイヴン。
透き通るような白い肌とプラチナのような色の髪、はっきりとした目鼻立ちの、まるでビスクドールのような美少女なのだが…。内気な性格もあり、髪はつねにみつあみ。目が悪く、眼鏡をかけているので、あまり容姿について褒められた事がない。
木陰で読書をしていたのだが、あまりに騒がしいので、気になったのだ。
明日が、儀式か…。お母さんが生きていたら喜んでくれたんだろうな…。儀式が終わったらどうしようか、いつまでもおばさん達に迷惑かけるわけにいかないし。はぁ…。
少しため息がでた。
ダメダメ、少ししんみりしちゃった。よし、とりあえず、明日の儀式が終わったら、お母さんに報告にいこう。
そんなことを考えていた。
実は、セルリアには両親がいない。父はもの心がく頃にはもういなくて、この村には3才の時に母と2人、移り住んだ。5才の時、もともと身体の弱いかった母が病死し、天涯孤独の身となった。それからは、隣の家のマイル夫妻のもとでお世話になりながら暮らしてきたのだ。
セルリアはこの時、この華の儀式が自分の人生を大きく変化させることなど、思いもしなかった。