はつこい
「…ぇ」

びっくりして震えたと同時、テレビも電気もなにもかもがぷっ、と小さく音を漏らして消えた。

「…っ、やだやだやだっ!」

怖くて、怖くて、隣にいる遼の服を握りしめて動揺している私を、ぐっと遼が引き寄せた。その腕はえ、と呟いた私を無視して、気付くとすっぽりと抱きしめられていた。大丈夫。え?

「大丈夫、大丈夫。」

ぽん、ぽん。と背中を叩かれて、耳元で遼の優しい声がした。

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