はつこい
「あの日…」
「うん?」
「2年前にお前が働いてたバーに行った日、分かる?」
「うん」
「あの日、美帆の命日だったんだ。」
「それで酔いつぶれてたの?」
「そう。墓参りにも線香あげにも行けないから、俺。」
「そっ、か」

こつん、と悠は額を私の肩に乗せてきた。

「…真結。」

「なに?」

「…真結は」

「真結は居なくならないで…」


消え入るような声で呟いて、じわり、と肩に温かいものを感じて、それはすぐに冷たくなって、つまり、そう、悠の涙だった。

悠は泣いていた。


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