雪がとけたら
…悟子。
僕等は一緒に成長して、
長い時間を共有してきた。
でも僕は、
悟子が一番側にいて欲しいと願った時に、
側にいることができなかった。
ありふれた幸せを共有できたのはほんの少しで、
なんてことない会話ですら全て記憶に刻まれてるくらいだけど、
本当にそれが、僕等の全てだった。
…悟子。
後悔は積もるばかりで、
悟子の笑顔をも連れ去ってしまいそうだ。
それでも心の隅に輝いている幸せは、
多分永遠に失われることはないだろう。
君は僕を生きた。
僕も君を生きた。
その証を残せるのだとしたら、
僕はやっぱり後悔より幸せを選びたい。
二人の恋は決して不幸なものじゃなかったんだって、そう信じたい。
…悟子も、そうだろ?
例え二人の赤い糸は、存在しなかったんだとしても…
それでも僕は、君が好きだった。
……………