雪がとけたら




…悟子。


僕等は一緒に成長して、
長い時間を共有してきた。

でも僕は、

悟子が一番側にいて欲しいと願った時に、
側にいることができなかった。


ありふれた幸せを共有できたのはほんの少しで、

なんてことない会話ですら全て記憶に刻まれてるくらいだけど、

本当にそれが、僕等の全てだった。





…悟子。


後悔は積もるばかりで、

悟子の笑顔をも連れ去ってしまいそうだ。


それでも心の隅に輝いている幸せは、

多分永遠に失われることはないだろう。



君は僕を生きた。

僕も君を生きた。


その証を残せるのだとしたら、
僕はやっぱり後悔より幸せを選びたい。


二人の恋は決して不幸なものじゃなかったんだって、そう信じたい。



…悟子も、そうだろ?


例え二人の赤い糸は、存在しなかったんだとしても…










それでも僕は、君が好きだった。









……………





< 101 / 300 >

この作品をシェア

pagetop