雪がとけたら
………………
「何見てんの?」
「ん?赤い糸、見えないかなぁって」
「おまっ…そんなん信じてんのかよ」
「何よっ!笑わないでよっ」
「はは…っ、で、見えたわけ?」
「見えるわけないじゃん。見えないものだもん、はじめっから」
「そりゃそうだろ」
「なんだかなぁ…もうはじめからさ、見えてたらいいのにね。」
「赤い糸?」
「赤い糸じゃなくても、何かしら運命の相手がわかるしるしがさ。そしたら誰も、遠回りも傷つくこともなく幸せになれるのにね。」
「…じゃあ悟子はさ、もし赤い糸が見えて、その糸が俺と結ばれてなかったらどうすんの?」
「そんなことないもんっ!」
「わかんねぇよ~?案外蓋を開けてみたら違う人だったり」
「何でそんな意地悪言うのよ」
「あははっ、…でもさ、そういう可能性だってあるわけじゃん。」
「まぁ…うん」
「だったらやっぱ、見えない方がいいよ。遠回りかもしれないし傷つくかもしれないけど、その時はその恋を運命だと信じれる。」
「…そっか。」
「見えないけど、今信じてるだろ?俺と悟子の赤い糸」
……………