雪がとけたら
西の「一年半か…」という呟きを耳にしつつ、僕は考えていた。
…一年半前。
それまでは毎日とはいかなくとも、定期的に連絡は取り合っていた。
会いに行こうと思えば行ける距離だったが、中学生の僕等には厳しい距離。
それでも声が聞ければ、僕は安心だった。
唐突というわけではない。
自然と、というより少しずつ、あいつからの連絡が少なくなった。
僕はまさか途切れるとは思っていなかったので、あいつの連絡に合わせていた。
だがある日を境に、あいつからの連絡はパタッと途絶えたのだ。
僕は途絶えたことも気付かずにメールや電話をし続けていた。
でも一週間もするとさすがに気付く。
いくら連絡をしても、あいつから反応が返ってくることはなかった。
「…ほんとに自然と、連絡しなくなった。」
西の口からふぅっと煙が吐き出される。
「返ってこないってわかってて…さすがに送り続けることなんかできねぇよ。」
おでこを押さえながら、ははっと自傷的に笑う。
西は何も言わず、煙草を灰皿に押し付けた。