雪がとけたら


中学三年間同じクラスで部活も同じテニス部、しかもお互い部長同士だときた。

自然と仲良くもなるだろう。


こんなに簡単に運命を信じるナァが、何故一久に運命を感じないかは最大の疑問だった。

一久に言うと、「ありえねぇ、俺とナァなんて」と爆笑された。

「手のかかる妹みたいなもんだよ」と笑いながら言う。

ナァに聞いたら多分、「手のかかる弟みたいなもんだよ」と返ってくるに違いない。


僕にしてみれば、手のかかるうるさい奴が二倍になるわけだ。



「で?ナァを虜にした王子様は一体どこのどいつなわけ?」


面倒臭いが一応聞いてみた。

ぱぁっとナァの顔が明るくなる。


「さっき急いで調べてきたのっ!三組の子に聞いたらすぐにわかったよ!」



…三組?



なんだか嫌な予感。




「三組ではもう注目の的らしいんだぁ!さすがナァの王子様だねっ、西祐太君っ!」





…予感的中。


王子様の時点で気付くべきだった。



面倒が更に増えそうな予感に、僕は肩をがくっと落とした。









……………




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