雪がとけたら

「…悟子、昔から大人びてたんでしょ?背も高くて、成長も早くて…でも、初潮が遅かったらしくて。それに加えて、お母さんの事とか…ストレスが溜まってたみたいでね、一年以上…生理が止まってたらしいの」

「男の子には解りにくいと思うけど…」と呟いて、彼女は続けた。

「そういう色んな…ほんと色んなことが重なってね、病院で、もしかしたら、子どもができない体かもしれないって言われたの。もちろんそれは可能性であって、生理も薬でなんとかくるようになったし、これから先絶対に子どもができないわけじゃないからって言われたんだけど…」


ふいに彼女は視線を落とした。

「悟子には…それが、絶望的に思えたの。誰だってそんな事言われたらショックだけど…悟子のそれは、比じゃなかった」



…それからあいつは自暴自棄になり、佐久間さんの言う『先輩』と付き合い、あろうことか…妊娠してしまったのだと言う。


皮肉に皮肉が重なってしまったのだ。


< 137 / 300 >

この作品をシェア

pagetop