雪がとけたら


だてに長年一緒にいたわけじゃない。

僕達の関係がなんであっても、それだけは言えることだった。






…廊下の端で息を整える。

校舎に残っている人はまばらになってきた。

どこを探しても、あいつはいない。


「…んでわかんねぇんだよ」


拳を廊下に叩きつけた。

自分の不甲斐なさに吐き気がする。



…どれだけあいつの側にいたと思ってるんだ。


あいつのいそうな場所くらいわかるだろ。


冷静になれよ…。



息を整えながら目をつむった。

…あいつのいそうな場所…。



フラッシュバックの様に、あの日の光景が瞼に浮かんだ。

勢いよく目を開ける。


「馬鹿か俺は…っ」


そのまま立ち上がって駆け出した。




何で気付かなかった?

校内であいつがいそうな場所なんて、
あの日わかったはずじゃないか。





僕は非常階段を駆け降りて、校舎裏へと急いだ。








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