雪がとけたら
僕は涙の止まらないあいつの肩にそっと触れた。
少しずつ壊れ物を扱うように、あいつを引き寄せる。
すっと抱き寄せたあいつの肩は、びっくりする程細く、柔らかかった。
ぎこちなく抱き締めながら呟く。
「悟子が罪を背負うって言うなら、俺も一緒に背負う。一生消えない罪悪感も、悟子と一緒に抱えていく。お前を苦しみから救いだすなんて、そんなかっこいいこと言えねぇけど…」
僕の制服を握りしめ、あいつがしゃくりあげた。
「一緒に苦しむ。一緒に苦しんで、一緒に泣いて、それで…」
昔は肩に感じていた涙を、今は胸に感じている。
僕はあいつの肩を抱く腕に力を入れた。
「一緒に、幸せになろう…」
…ゆっくりと、あいつの腕が僕の背中に回された。
同時に僕も力を強める。
…三年分の空白を埋める様に、僕等は強く抱き合った。