雪がとけたら



僕は涙の止まらないあいつの肩にそっと触れた。

少しずつ壊れ物を扱うように、あいつを引き寄せる。

すっと抱き寄せたあいつの肩は、びっくりする程細く、柔らかかった。


ぎこちなく抱き締めながら呟く。


「悟子が罪を背負うって言うなら、俺も一緒に背負う。一生消えない罪悪感も、悟子と一緒に抱えていく。お前を苦しみから救いだすなんて、そんなかっこいいこと言えねぇけど…」


僕の制服を握りしめ、あいつがしゃくりあげた。


「一緒に苦しむ。一緒に苦しんで、一緒に泣いて、それで…」


昔は肩に感じていた涙を、今は胸に感じている。

僕はあいつの肩を抱く腕に力を入れた。





「一緒に、幸せになろう…」






…ゆっくりと、あいつの腕が僕の背中に回された。

同時に僕も力を強める。






…三年分の空白を埋める様に、僕等は強く抱き合った。







< 150 / 300 >

この作品をシェア

pagetop