雪がとけたら



……………


次の日、僕等は清水寺へ向かった。

あの頃と同じ、あの坂道を歩いて。


あの日、あいつが買った風車はまだ同じように売られていて、二人でこっそり笑いながら回した。



父さん達が出会った場所に行き、二人で恋占いの石をやった。

僕はどうしても左に曲がってしまい、あいつが笑いながら軌道を正す。



どうにか転ばずにたどり着けた時には、嬉しいとかより達成感の方が強かった。




八ツ橋の試食を食べながら祇園に行き、

あの日買ったストラップを探す。


さすがにもう売られてはいなくて、僕は少しがっかりした。

でもあいつが、「あの日買っといてよかったね」なんて言うから、僕の気分はすぐに持ち上がる。




…あの日の様に、たくさん笑った。


アーケードの下を、手を繋いで歩いた。


「また来ようね」とあいつが言って、僕は笑って頷く。


…そんな小さな幸せを、二人で必死に噛み締めた。











今でも思う。


多分あの日は、


僕等の幸せの始まりでもあり、



…カウントダウンの始まりでも、あったんだ。









……………


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