雪がとけたら
「あっお菓子!ナァも食べよーっと」
「そういえば限定チロルいっぱい持ってきたよ」
「さっちゃんやる~!」
既に湿気た花火には目もくれず、女の子達はキャッキャとビニール袋を漁っている。
「…もう諦めろって、一久」
ガックリ落とした一久の肩を、僕は同情の念を込めてポンッと叩く。
ようやく西も話題に入ってきて、「スルメ食う?」と一久の前に袋を差し出した。
そのちぐはぐさが可笑しくて、僕は思わず吹き出す。
「笑うなよ、雪!」
「だって…一久間抜けだし…西もずれすぎだし…っ」
腹を抱えて笑う僕につられ、気付けば西も一久も笑っていた。
…砂浜に広がったビニール袋の上に、ポテトチップスやポッキーが無造作に置かれている。
ザザァと波が寄せては返し、僕達はそれを砂浜に座って見ていた。
「今何時?」
「3時くらいかな」
「まだ大丈夫だな」
ぼんやりとそんな会話を繰り返している中で、佐久間さんの顔が携帯の光りに照らされていた。
「メール?」
「うん。11時頃来てたみたいだけど、返してなかったから」
カチカチとボタンを鳴らす。
携帯を閉じた佐久間さんに、ナァがニヤニヤしながら聞いた。