雪がとけたら


「誠二君でしょ」
「うん、まぁね」
「相変わらずラブラブだねーっ」

ナァは佐久間さんをつつきながら言い、それに覆い被さる様に一久が叫んだ。

「佐久間さん彼氏いるの!?」

余程驚いたのかその場を立ち上がる一久に、ナァは「あれー?久もしや千歌ちゃん狙いだったの?」と冷やかす。

「なんだよー」と天を仰ぐ一久を見ながら、あいつはくすくすと笑っていた。


「でもまじ、佐久間さん彼氏いたんだな。同じ学校?」
「ううん、中学が同じなの。高校は地元。」
「ってことは、悟子も知ってるんだ」

笑っていた悟子は僕の方を向き、知ってるよと頷いた。

僕達はしばらくその話題に食いついていたが、ふいにナァが佐久間さんに言った。

「じゃあ千歌ちゃん、大学は外部?」
「うん、そのつもり。まぁ…向こう次第かな。あの人あんま頭よくないから」

苦笑する佐久間さん。
その話から、話題は大学に移った。

僕達の学校は所謂エスカレーター式で、だいたいの奴はその波に乗っかっていく。

外部受験する奴は、全体の三分の一くらいだ。

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