雪がとけたら
第九章【運命の扉】
……………
「聞いて聞いてっ、大ニュースだよっ!」
バタンとドアが開いたかと思ったら、いつも以上にテンションの高いナァの叫び声が部屋にこだました。
僕はまたかよという呆れた顔をしてみせたが、一久は慣れているのかふんふん鼻歌を歌いながらものの見事にスルーしている。
西だけがいつもの笑顔で、「どうしたの?」と聞き返してあげていた。
ナァの手元には大量の紙袋。
色んなお店のロゴで溢れている。
そういえば今日は、三人で街まで買い物に行くって言ってたっけ…。
そんなことを頭に過らせていたが、ナァの一言は意外にも衝撃的だった。
満面の笑顔で嬉しそうに言う。
「スカウトされちゃったっ」
…これにはさすがの一久も驚いたのか、食べ掛けのポテトチップス(もちろん僕が持ってきたやつ)をポトリと落とした。
西も軽く目を丸くする。
「え…それは何、ハムスター大好き同好会とかに?」
「はぁ?何それ」
ナァは心底呆れた顔で一久を見た。
多分一久も僕も、そんな顔でナァを見ていただろう。