雪がとけたら



「あたしはやっぱり、雪ちゃんと同じクラスがよかったな」


カタコトとランドセルを鳴らしながら、あいつは呟いた。

サッカーボールを蹴りながら、思う。


…俺だってそうだよ。

悟子と同じクラスがいいに決まってるじゃんか。

悟子がいないクラスなんてつまんないよ。



…でも、もう僕はそんなこと言えなかった。

恥ずかしくて照れ臭くて、あいつみたいに素直にはなれなかった。





「…雪ちゃんって呼ぶなってば」


それだけ言って、サッカーボールを蹴り続ける。


「…ふんだ。雪ちゃんは雪ちゃんだもん」


あいつの小さな呟きが、僕のサッカーボールの音にかきけされていった。






……………



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