雪がとけたら



……………

「あー楽しいっ!!」

昼食時を少し過ぎた時間帯なので、レストランはそんなに混んではいなかった。
それぞれの注文した品を食べ終えた僕等は、しばし休憩をすることにする。

「久しぶりだなぁ、こんなに遊ぶの」
「俺もだよ。最近模試ばっかでさ」

そこまで言ってはっと気付いた様に口を開いた。

「そういやお前、テストとかはどうしてんの?」

ストローから口を離し、コクンと喉を動かしてから答える。

「定期テストは別の日に振り替えてもらってる。もちろん問題は違うけどね。」
「でもお前、勉強する暇なんかあんの?」
「これでも一応成績優秀ですから」

少しおどけた調子で言うあいつに笑顔を見せつつも、「無理すんなよ」と言い聞かせた。

あいつは昔から頑張り過ぎる所がある。それが少しだけ気がかりだった。

「大丈夫。ありがとね」

それでもニコッと笑うあいつを見見て、僕もまた笑顔を返した。

「…あたしね」

ストローをいじりながら、あいつが口を開いた。

「どんなに忙しくなっても、あの寮を出るつもりはないの」

キィッとドアがあいて、女の子達が入ってくる気配がした。彼女達が通りすぎた後、あいつは話を続ける。


< 223 / 300 >

この作品をシェア

pagetop